生活保護受給と任意売却に関する成功事例

さまざまな事情により生活保護を受ける人は、決して珍しくありません。

2021年、新型コロナの影響で日本経済が先行き不透明な中、生活保護の申請件数は、およそ23万5,000件と前の年より5%余り増えて、2年連続の増加となりました。

東京都北区に住むGさんはうつ病となり、就労できない状態のため、住宅ローンの返済も滞るようになりました。しかし任意売却で自宅を売却し、現在は生活保護を受けながら、安定した生活を送っています。

今回は、困窮状態における生活保護受給と任意売却に関する成功事例についてご紹介をします。


うつ病で就労できない状態に

Gさんは、事務機器メーカーに勤務する30代のサラリーマンでした。

地方大学を卒業後、自動車販売会社に就職しましたが、30代になり事務機器メーカーに営業として転職しました。転職した事務機器メーカーは大手企業であったため、将来的に安定した働き方ができると期待して入社しましたが、現実はそう甘くありませんでした。

厳しいノルマに追われながら、来る日も来る日もテレアポや企業への飛び込みなど、過酷な営業をしなければなりませんでした。

そんな毎日を送るうちに、Gさんはだんだんと心身に不調をきたすようになり、眠れない日々が続くようになりました。1日中気分が落ち込み、何をしても楽しめないという状況が続いたため、心療内科を受診したところ、「うつ病」と診断されます。

1,600万円の自宅の残債務

Gさんは心身の疲弊から出社できない状態になってしまい、仕方なく会社を退職します。3年ほどしか勤めていなかったため、退職金も申し訳程度の金額しかもらえませんでした。

20代後半に購入したマンションの住宅ローンの残債務は1,600万円ほど残っていましたが、会社を辞めてしまったので返済に困るようになりました。Gさんは両親が他界しており、一人息子であったため、頼れる親族がいません。大学の先輩が経営する飲食店に関する手伝いを在宅で始め、僅かなバイト代を生活費に充てていましたが、住宅ローンの返済を再開するには程遠い状況でした。

うつ病を抱えながらの仕事が上手く行くはずもなく、Gさんはタスクを放置するようになり、ついに解雇されてしまいます。そして、いよいよ生活自体が困窮することになってしまいました。うつ病が治る気配もなく、病気を抱えたまま就職できない状態が続いたGさんは、貯金も底をつきそうになったため、区役所に生活保護の申請をしました。

生活保護が受給できず、任意売却へ

しかし生活保護の審査は厳しく、年齢や条件次第では却下されることがあります。生活保護申請が却下される理由の主な代表例は以下の通りです。

  • 1ヶ月分の最低生活費の半分より多い預貯金がある
  • 持ち家・不動産・車などの売却出来る財産を持っている

Gさんの場合は自宅マンションという所有不動産があったため、審査が通らないようでした。

まずは、体を治してから生活を立て直すことを優先的に考えたGさんは、インターネットで見つけた当協会(任意売却協会)に、自宅の売却を相談したのです。

任意売却協会所属の東京都担当不動産業者は、不動産を所有していると生活保護を受給できない可能性が高いため、自宅マンションを任意売却することを提案しました。

自己破産後の生活保護受給申請

キャッシングの残債も300万円残っていたので、任意売却でも全ての借金を清算できる状況ではありませんでした。なので相談した結果、自己破産を行うことを決意しました。残債務と引っ越し費用などを踏まえて、自己破産後に生活保護受給を申請することを提案したのです。

  1. 破産申し立てを申請する前に任意売却を行い、
  2. 財産全てを処分した後に自己破産の申立をする

Gさんの場合は上記がベストだったので、任意売却と自己破産を同時進行で進めていきました。自宅も後日任意売却に成功して、その後自己破産を進めていたので、同時廃止で処理しています。協会加盟の弁護士とは後日、改めて生活保護の受給を申請して無事に受理されました。生活保護受給者には住居費が支給されるので、借りられるアパートも見つかりました。

Gさんは、ひとまず心身の健康を取り戻してから、就職先を見つけようと療養中です。