住宅ローンと抵当権について(後編)

前回の記事では住宅ローンを借入すると必ず設定される「抵当権」や「根抵当権」について解説しました。

金融機関などの債権者は、万が一債務者(借主)がローンを返済できない場合に備え、担保物件を売却して貸付金の回収を行います。債務者が何もしないまま事態を放置していると、いずれ物件は競売にかけられますが、市場価格より6~7割ほど低い価格でしか売却されないことが多いようです。

したがって、競売になる前に少しでも高めの金額で物件を売却したい場合は任意売却による方法がよいといえます。任意売却ならば、市場価格に近い金額で売却できる可能性が高いからです。

今回は、「任意売却をする際の抵当権抹消」「登記順位の優先度」「先取特権」などについて解説をします。

 


任意売却をするには抵当権の抹消が必要

 

抵当権の抹消とは、住宅ローンを借りた際に設定された抵当権を解除することです。

通常は「住宅ローンを全額返済できた時」のみ抵当権を抹消できます。なので抵当権が設定されている間は、所有者といえど抵当権者の承諾なしで第三者に売却することはできません。しかし経済事情が悪化するなどの理由で、住宅ローンを返済中(抵当権が付いたままの状態)に売却せざるを得ない人は多く存在します。とはいえ、抵当権付きの不動産は、いつ差し押さえられるか分からないため、購入する人は極めて少ないのがデメリットです。

そこで検討したいのが任意売却による不動産の売却です。任意売却は抵当権付きの不動産を売買できる方法であり、抵当権者である金融機関などに交渉をして抵当権の抹消を承諾してもらいます。金融機関との交渉は任意売却業者などの専門家を介することが鉄則です。

 

 

 

 

登記した順位により優先度が決まる

 

 

 

抵当権は、一つの不動産に対し複数設定することができるものです。

一番先に設定されたものは第一抵当権、二番目に設定されたものは第二抵当権、三番目に設定されたものは第三抵当権と続いていきます。登記した順位が早いほど優先度が決まるという特徴です。万が一、住宅ローンを返済できなくなり担保不動産を売却した場合、代金は第一抵当権者→第二抵当者の順で返済に充当されることになります。

たとえば、不動産を売却して得た代金が5,000万円の場合、第一抵当権者と第二抵当権者が3,000万円ずつの貸付金があったとします。この場合、第一抵当権者は3,000万円まるまる返済してもらえますが、第二抵当権者は2,000万円しか返してもらえません。

したがって、後順位になるほど貸付金はもらえない可能性が高まり、登記すらしていないただの債権者は返済してもらえる確率が少ないのが実情です。なお、債務者が第一抵当権者に借りたお金を全額返済した場合は自動的に消滅し、二番抵当権者が一番抵当権者へと繰り上がります。

 

 

 

先取特権は抵当権より優先される

 

先取特権(さきどりとっけん)とは、法律で定められた特殊な債権について、債務者の財産や不動産などから優先的に弁済を受けられる権利のことです。この権利は、担保物権として強く保護されています。

 

民法では「一般先取特権」「動産先取特権」「不動産先取特権」の3種類に分けられております。

主な内容は以下の通りです。

  • 一般先取特権(共有部分の水道光熱費や修繕費・従業員への未払い給料・葬式費用・日用品の購入など)
  • 動産先取特権(アパートなどの家賃収入・宿泊料金・アクセサリーなど商品の売却代金など)
  • 不動産先取特権(不動産の保存・工事・売買などで発生した費用)

 

たとえば、雇人の最後の6ヵ月分の給料は雇主の総財産に対して、優先弁済の権利があるとされています。また、請負人等がした不動産工事の費用や不動産売買の対価およびその利息も、その不動産に対して同じく優先的に弁済されると規定されています。

具体的には、不動産の設計や建築工事費用を請負人が負担した場合は、工事を開始する前に費用の予算額を登記すると先取特権を得られます。ただし、他の先取特権と順位の優劣には細かいルールがあるので注意が必要です。

 

 

 

抵当権に関する対応は、任意売却業者への依頼が最善

 

住宅ローンの返済や任意売却の実行に際して、設定された抵当権の解除などは必至です。とはいえ、一般的に債務者が自分自身で全て対応を手掛けるのは事実上難しいと言えます。

任意売却協会(または最寄りの任意売却業者など)は、任意売却のみならず住宅ローンの返済や借金問題などのその他法律関係のご相談に幅広く対応しています。お困りの場合は、是非24時間いつでもご連絡頂ければ、無料で対応させて頂きます。